アンソロジー小説とは
アンソロジー小説とは、複数の作家による短編作品を1冊にまとめた本であり、多様なジャンルやテーマを扱っており、異なる作風や物語が一つの本で楽しめ、忙しい読者にも手軽な読書体験を提供してくれます。
今回はその中でも推理作家、ホラー作家としても知られる三津田信三さんが掲載されているアンソロジー小説を紹介させていただきます。
アンソロジー小説は普段自分が手にしないようなジャンルの作家さんに触れる機会にもなるので、三津田信三さん以外のお気に入りの作家さんも見つかるといいですね。
『黒猫を飼い始めた』
会員制読書倶楽部、Mephisto Readers Club(MRC)で公開された26篇のショートショート集。
26篇すべての書き出しが「黒猫を飼い始めた」で始まり、2行目からはそれぞれの作家が自由に想像を膨らませ紡がれます。
読んだ事のない作家さんもたくさんいたので、「黒猫を飼い始めた」の書き出しから、ホラーによるのか、ミステリによるのか、ファンタジーによるのかと展開が読めずに面白かった。
では、そろそろ三津田信三さんについて触れていきたい
よくツイッターなどで猫の画像をあげておられ、猫好きと知られる三津田信三さんが好きそうな企画
本書の最後から2編目というもったいぶった位置に載っています
タイトルは「独り暮らしの母」
独り暮らしの母が黒猫を飼い始めたところから物語は始まり、はじめは猫の話題を楽しそうにメールを送ってくる母を喜ばしく思っていたが、しだいに違和感を覚えていく
短編の中でも三津田信三さんらしいミステリとホラーが融和したような作品で最後の一言でゾクッとささられた
こういう最後の一言で強い衝撃を与えてくる作品は好みなので短いながらも楽しめる作品でした
『Story for you』
コロナ過の夏休みにwebサイト「tree」に発表された62編の短編集です。
様々なジャンルの作者が集まった夢のアンソロジー小説
西尾維新さんや辻村深月さん、森見登美彦さんなどのその他豪華な作家陣で埋め尽くされた短編集になっています。
1篇3~4ページ程度なので読書に疲れた息抜きに気軽に読むことが出来ます。
さて、三津田信三さんはというと159Pに
『友だちの家の離れ』というホラー小説を執筆されています
タイトルの通り友だちの家の離れでの不思議な体験を描いた作品で、短いなりにも不気味で味わい深い作品になっています
短いので多くは語られず余地がいっぱいある小説でその余地の中に読む人それぞれの恐怖を感じることが出来ます
『奸計の遁走曲フーガ』
日本推理作家協会編による3年おきに刊行されるミステリーアンソロジー。
協会から委嘱された2人の選者(円堂都司昭、西上心太)が三十名の作家を選出し、その作家に2019年~2021年の間に発表した短編から2作品を自薦してもらい、選者が合議によって三十作品を選び、15作品ずつを2冊の本に振り分けた1冊がこの『奸計の遁走曲』です。
今回は特に新型コロナウイルスが蔓延した年も含まれているので、そのあたりの時代性も加味された作品が多く見受けられる。
三津田信三さんはというと、
2019年9月号の「小説野生時代」で発表され、短編集『逢魔宿り』に所収されている
『予告画』という作品が選出されている。
最新ベスト・ミステリーということで油断していたがしっかり怖かった。
自らの死や事故を予告するような絵、予告画。
はじめて担任を持った小学校の新米教師がある一人の生徒の絵に違和感を覚え始める。
最近、雨穴さんの『変な絵』を読んでたせいで子供の絵を怖いと思う下地が出来ていたので、めちゃくちゃ怖くて楽しめる短編でした。
『奸計の遁走曲』は三津田信三さんの以外にも選ばれた推理作家の珠玉の作品がまとまって読めるので新しい作家さんを発見したい方はぜひ手に取ってみてください。
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